飲酒運転の同乗者も罪に問われる?【酒気帯び運転、酒酔い運転】

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飲酒運転と同乗者の罪 刑事処分・不起訴

「飲酒運転はとても重い処分が科せられる」という認識がある人は多いと思います。しかし、実は飲酒運転は飲酒をして運転をした本人だけの問題ではなく、同乗者も責任を問われることがあります。
今回は、飲酒運転の車の同乗者に科せられる処分について様々な場合を想定して解説します。

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交通違反には行政処分と刑事処分がある

まず、前提として交通違反をしたときの処分の種類について説明します。

交通違反をすると、主に行政処分と刑事処分という2つの処分が科されます。この2つは「刑事処分を受ければ行政処分は科されない」という関係にあるものではなく、別々に科される処分であるという点に注意してください。

刑事処分

刑事処分とは、罰金、禁固、懲役などの処分をいいます。刑事処分の対象となるのは事故により人をけがさせたり死亡させたりした場合、すなわち「人身事故」の場合だけです。相手方の車などが壊れただけでけが人がいない「物損事故」の場合、原則として刑事責任を負うことはありません(建物を損壊した場合のみ罰則があります)。

行政処分

一方の行政処分とは、公安委員会から受ける運転免許の停止処分や取消し処分などを行政処分といいます。交通違反をするとその悪質さに応じて点数が加算されていき、一定の点数に達すると免許の停止や取消しの処分を受けることになります。悪質な交通違反の場合には一発で免許停止や取消しを受けることもあります。

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飲酒運転の同乗者の処分

同乗者の処分の決まり方

では、飲酒運転の同乗者にはどのような処分が科されるのでしょうか。

まず同乗者に科される処分の重さは同乗者の飲酒状態に関係なく、運転者の飲酒状態により決定されます。

運転者が飲酒している場合、同乗者もアルコールを摂取しているケースも多いと思われますが、同乗者がどれだけお酒を飲んだかは同乗者の処分を決める際に問題になりません。

飲酒運転には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類があり、「酒酔い運転」にはより重い罰則が定められています。運転者がどちらに該当するかによって同乗者の罪の重さが変わってくることになります。

同乗者の罪1:運転者が酒気帯び運転として処分された場合

道路交通法第65条第4項には「何人も、車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。」という規定があり、これに違反すると同乗者に対して2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。

酒気帯び運転とは身体にアルコールを保有する状態で運転する状態のことをいい、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15ミリグラム以上で違反となります。

同乗者の罪2:運転者が酒酔い運転として処分された場合

運転者が酒酔い運転として処分された場合、同乗者の罪はさらに重くなり3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。

酒酔い運転とはまっすぐに歩けない、受け答えがおかしいなど客観的に見て酔っている状態をいい、呼気中のアルコール濃度という客観的な数値で判断される酒気帯び運転と異なり、取り締まりを行う警察官などとのやり取りから判断されます。

同乗者の罪3:運転者が飲酒運転で交通事故を起こした場合

では、運転者が飲酒運転により交通事故を起こして人をケガさせたり死亡させたりした場合、同乗者は飲酒運転による結果にまで責任を負うのでしょうか。

飲酒運転により人を死傷させた場合、運転者は「危険運転致死傷罪」に問われ、非常に重い刑罰の対象となる可能性があります。昨今では飲酒運転は絶対に許されてはならない行為として社会から厳しい目で見られており、それに伴い罰則も強化されています。

そして、同乗者も飲酒運転の事故についての刑事責任を問われる可能性があります。

具体的には、運転者の違法行為を手助けした「幇助犯」、運転者に違法行為をそそのかした「教唆犯」、もしくは運転者と共同して違法行為を行った「共同正犯」として処罰を受ける可能性があります。

つまり同乗者は「飲酒運転でありながら車に同乗した」という行為のみならず、「それにより人を死傷させた」という結果に対しても責任を負う可能性があるのです。

同乗者の罪4:同乗者が運転免許を持っていない場合

同乗者が運転免許を持っていなかったとしても、刑事罰の対象となるのでしょうか。

自動車教習所などで飲酒免許の危険性について指導を受けている運転者と異なり、運転免許を持っていない同乗者の罪は軽くなるのではないか、と思われるかもしれません。

しかし、法律上、同乗者が運転免許を持っていることは罰則の要件とされておらず、同乗者の免許の有無に関係なく処分の対象となります。「運転免許を持っていないから、同乗者の責任について何も知らなかった」という言い訳は通用しないことになります。

同乗者の罪5:免許を持っている同乗者の行政処分

ここまで、同乗者の刑事処分についてご説明してきましたが、同乗者が免許を持っている場合は飲酒運転社と同様の行政処分も課されます。

運転者の飲酒状態同乗者の行政処分
酒気帯び運転(0.25mg未満)13点、免許停止90日
酒気帯び運転(0.25mg以上)25点、免許取消(欠格期間2年)
酒酔い運転35点、免許取消(欠格期間3年)
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同乗者が飲酒運転だと知らなかった場合

では、運転者が飲酒していることを同乗者が知らなかった場合にはどうなるのでしょうか。たとえば、友人に頼んで車で迎えに来てもらったが、運転者が自分が飲酒していることを伝えなかったため、同乗者が飲酒運転だということ自体を知らなかったような場合です。

この場合、何も知らなかった同乗者に罰則を科す理由はありませんので、同乗者には刑事罰は科されないことになります。あくまで「飲酒運転であることを知っていたにもかかわらず、同乗した」ことについて罪が成立するからです。

もっとも、運転者の顔が赤い、お酒の匂いがする、まっすぐ歩けないなど、飲酒をしていることが明らかに分かる状態だった場合には、運転者が飲酒していることを認識できる状態だったとして罰則の対象となる可能性があります。

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飲酒をしていたことを知らなかったと同乗者が嘘をついた場合

実際は運転者が飲酒していることを知っていたにもかかわらず、知らなかったと嘘をついたらどうなるのでしょうか。

もし嘘をつきとおすことができれば、罪を免れることができる可能性もあるかもしれません。しかし、運転者や他の証言者の取り調べにより飲酒運転を知っていたことが証明されてしまうことはありえますし、もし嘘が発覚したら捜査機関や裁判所の心証が悪くなり、罪が重くなる可能性もあります。

このように、罪を免れる目的で飲酒運転だと知らなかったという嘘をつくことは、トータルで見ればマイナスの方が大きいと言えます。警察などにはありのままを話し、反省の意を伝えた方が賢明でしょう。

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まとめ

運転者が飲酒をしていたことを知っていれば、同乗者も罪に問われることがお分かりいただけたでしょうか。

飲酒運転は被害者を死に至らしめるおそれがある重大な違法行為です。もし同乗者のあなたが状況により無罪になったとしても、飲酒運転による事故で死者がけが人などの被害者が出てしまった場合、

「無罪でよかった」などという気持ちだけでは済まないでしょう。

被害者のため、運転者のため、そして自分のためにも、「飲酒運転かもしれない」と思ったら運転者の飲酒の有無を確認しておくことが大切です。

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